個人サイトなので自由に書いていますが、もし同じような境遇の方が読んでくれていたら、少しでも励みになれば嬉しいです。ポエムです。

量で返すしかないと思っていた

異業種への転職では、自分にないものばかりに目がいきがちです。

エンジニアにキャリアチェンジした当時、私は「文系」「30代」であることに、かなりのコンプレックスがありました。

周りよりスタートが遅い。

学生時代から積み上げてきた技術の土台がない。

プログラミングスクール在学中にも2回ほど挫折して、不安で眠れない夜もありました。

それを埋めるには量で返すしかないと思っていて、毎日12〜15時間働けるタフさだけが自分の武器だと考えていました。 片道1.5時間の通勤で資格を4つ取ったし、常駐しながら複数案件をこなした。クラウドストレージ移行とAWSコスト半減を主導して年間3桁万円を超える固定費削減もやりました(タフさを活かせた!)

しかし、2年半やってきて感じるのは、本当に自分を支えていたのはそこ(タフさ)だけではなかったのではないか?ということです。

当時は「設計」とは呼んでいなかった

私は8年間、小学校の教員をしていました。

当時は「設計」や「運用」という言葉を使っていたわけではありません。でも、やっていたことはかなり近かったのだと思います。

10を超える教科の授業づくり。学級や学年の仕組みづくり。学校行事の企画・運営。教職員集団がうまく回るための調整。

30人前後の子どもたちが1つの部屋で過ごすと何かと色々あるので、喧嘩の仲裁やいじめ対応も、その場を収めるだけではなく、再発しにくいように関わり方やルールを毎年見直していました。

また、給食や掃除の進め方も、学年の状態に応じて自由度を調整していました。揉めやすいならあえて細かく決めて、迷わず安心して生活できるようにする。子どもたちの実態に合っていないなら、背景と課題を伝えた上でルールを変える。(毎日のことなので給食・掃除は学級経営上非常に重要でした)

今振り返ると、どれも一種の設計、運用だったのだと思います。

教室のマルチロール

教員は、授業をする人であると同時に、学校生活を管理するマネージャーであり、心に火を灯すコーチであり、(エンジニア的にいうと)設計者であり実装者であり運用保守担当者でもありました。

子どもたちのモチベーションを見ながら働きかけ、保護者対応というクライアント調整もして、個人の成長を促し集団がよりよく回るように動く。「この子たちが大きくなったときに本当に必要なことは何だろう」と考え続けて、教育観や子ども観を毎年アップデートしていました。

職種が変わっても残るもの

まあまあ大変でも、子どもたちの成長を感じられる仕事でしたし、何より子どもたちが大好きだったので、8年間続けることができました。

そして、20代でそうやって目の前の仕事に向き合ってきたことは、職種が変わっても意外とちゃんと残るのだと、最近感じています。(なので筆を取りました)

エンジニアになりIT技術はもちろん新しく学んでいますが、自分ができることで他者の成果を最大化する設計という観点は、実は教室でやっていたことの延長線上にあったのでは?と感じています。

具体的には、エンジニアとして以下のようなことをやってきました。

  • 未経験者のリード — タスクの難易度を段階的に上げて成功体験を積ませる、わからないことがあっても自分で調べて解決できるように促す、足りない視点に気づかせるなど、何が本質的な成長につながるかを自分なりに考えて、未経験者の成長を支援してきました。
  • 社内ミニ講座 — 書籍で学んだことを知らせたいと勇気を出して社内に呼びかけたら14人が参加してくれました。内容はもちろんですが、自分が学んだことを共有して、みんなの成長に役立ててもらいたいという思いがあってやっていました。参考: note記事
  • SREチーム立ち上げ — 情シスからSRE業務を分離して「社内基盤チーム」を創設しました。属人化を排し後進が育つ場を組織の中に作れたのは、自分の成果より組織・チーム・他メンバーの成果を重視する視点があったからだと思います。

SRE/Platformの仕事も、突き詰めれば同じだと考えています。良い基盤を作るだけでは足りなくて、開発チームに使ってもらい、チームの成果を引き出す。それがプロダクトの価値を高め、社会にインパクトさせる。自分ではなく他者の成果を最大化する。

教室でやっていたことの延長線上に、私がエンジニアとして目指したい姿があるのかなと今は思っています。

コンプレックスを忘れるほど夢中になれた

昔は、文系30代であることや遅れていることばかりを気にしていました。

でも今は、それ以上に、目の前の仕事をどう見て、どう工夫して、どう良くしようとしてきたかのほうが、ずっと大きかったのだと思っています。

積み上げたものは、思ったよりなくならない。 転職しても別の形でちゃんと効いてくることがある。誠心誠意仕事に向き合ってきたことは、ちゃんと自分の中に残ってくれているんだ、ありがとう、と、そういうことを実感しています。

そして、それほど業務に夢中になれたのは、家族の理解や同僚のみなさんの支えがあってこそでした。 たくさん失敗もしてきましたが、周りの人たちが「大丈夫だよ」と言ってくれたから、前に進めました。

積み上げたものを信じて、これからも目の前の仕事を頑張っていきたいと思います。